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「脇息」とは?
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- そもそも「脇息」とは何か、ご存知でしょうか。長細い板の上に綿を詰めた枕が載り、その下に脚が付いている道具です。時代劇などで殿様が脇に置いて肘を掛けているシーンを見たことがある人もいるのではないでしょうか。現代でも料亭や旅館の客間に置かれたり、囲碁や将棋の対局の場で使われたりします。しかし従来の脇息には古色蒼然とした雰囲気があり、現代の住空間の中では似合わず、一般的にはあまり使われない道具となってしまいました。この脇息に目を付けたのが、丹羽ふとん店の五代目である丹羽拓也さんです。丹羽さんはLEXUS NEW TAKUMI PROJECT 2017で愛知県の「匠」として選出されたことを機に、脇息のリ・デザインに挑みました。
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現代の暮らしに合わせてリ・デザイン
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- 人の身体を支えるという機能は同じながら、現代の暮らしに合うよう、丹羽さんは脇息の形をがらりと変えました。枕を載せていた板と脚を省き、枕だけを独立させて、極力シンプルな形にリ・デザインしたのです。しかし枕と言っても、寝具とは異なります。端正な直方体であること、取っ手をつかんで片手で簡単に持ち運べること、家でもオフィスでも、車内でも、屋外でも、場所を選ばず使えるクッションであることが大きな特徴です。
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3サイズを用途に合わせて使い分ける
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- クッション「KYO-SOKU」には、SMLの3サイズがあります。
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- Sはオフィスや在宅ワークでの使用に向いています。デスクで仮眠する際の枕や、椅子に座った時の腰当て、また低めのオットマンとして座高調節にも役立ちます。
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- Mはリビングや車内、屋外での使用におすすめ。ソファや床でごろ寝する際の枕や、車内で身体を支えるクッション、またあぐら座でノートパソコンを膝に置いて使用する時の台としても役立ちます。ピクニックに持ち出してもOK。
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- Lは寝室やリビングでのくつろぎに便利。上半身をもたせかけるのに手頃なサイズ感で、ごろ寝する際に大きめの枕としても使用できます。
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寝具製作技術から生まれたアイデアと構造
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- 「KYO-SOKU」に身体をもたれかけると、なんとも言えないみっしりとした弾力を感じます。この安定感と程よい柔らかさは、寝具製法ならでは。芯材にそば殻を使い、その周りをブレンド綿で丁寧に包む構造を採用しました。また寝具の枕と同様に、最後の工程で、量を調整しながらそば殻を詰めて口を閉じます。取っ手で隠れた口を手縫いするのは至難の技ですが、この手縫い方法にも、寝具製作技能士一級資格者にしか作れない「夜着(かいまき)」の難しい技術が生かされています。このように随所に異彩・超絶の技を見ることができます。
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尾州産の肌触り良いウールを表生地に採用
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- 愛知県一宮市とその周辺は、織物が盛んな尾州産地として知られています。「KYO-SOKU」の表生地には、同産地の老舗メーカー、葛利毛織工業が生産したウール生地を採用しました。この生地は本プロジェクトだけの特別仕様。繊維に負担を極力かけずにゆっくりと織り上げる、旧式のションヘル織機で織られたウール生地なので、手織りに近い柔らかさと風合いがあるのが特徴です。ウール生地なのにさらりとして肌触りが良く、四季を通して快適にお使いいただけます。また濃紺の無地とヘリンボーン生地のコンビネーションなので、どんな場所にも置いても上品で落ち着いた雰囲気に収まるでしょう。
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親子二代で技能グランプリ優勝
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- 元々、もの作りが好きだったという丹羽さん。メーカー勤めを経験した後、家業の丹羽ふとん店に入りました。4代目の父から一子相伝で寝具製作技術を教わり、厚生労働省が認定する国家資格の寝具製作技能士二級、寝具製作技能士一級を順調に取得。そして一級を取得した翌年、全国の一級資格者が競う技能グランプリに出場し、見事に優勝を果たしました。一級を取得したすぐ翌年に優勝した職人は史上初であるとともに、丹羽さんの父も優勝経験があり、親子二代での優勝も史上初という二大快挙を成し遂げたのです。
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約3年待ちの人気ふとん店
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- 「父から技能を理論的に教えてもらえたことが、職人の成長において大きな糧となった」と話す、丹羽さん。工程での原因と結果が分かることで、寝具製作への理解のスピードが早まったと言います。こうして親子で技能グランプリに優勝し、品質の高い布団を製作している評判が広く伝わると、丹羽ふとん店への注文もますます殺到するようになりました。同店ではお客様の身体や寝室環境に合わせて、布団1枚1枚を丁寧にオーダーメードする方法を採っているため、1日で製作できるのは3〜4枚まで。そのため、現在、納品までに約3年待ちという状況が続いています。
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意と匠研究所がサポート&お届けについて
- 意と匠研究所は、これまでも、これからも挑戦を続ける丹羽さんを応援していきます。ここでご紹介する製品の売り上げの55%を新たな製品開発費として丹羽さんに支払うほか、新規開発に対してもアドバイスを適宜行っていきます。なお、ご購入いただいた製品については、丹羽ふとん店よりご購入者の元に直接発送いたします。